Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひとあしおさきに
一足お先に
夢野 久作
Read 一足お先に (ひとあしおさきに) by 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 40,200 characters · 79 screens
キット、待ちかねていらっしゃるわよ」
「アハハハハ。スッカリ忘れていた。違えねえ違えねえ。エヘヘヘヘ……」
看護婦は眼を白くして出て行った。
私は情なくなった。こんな下等の病院の、しかも二等室に入院った事を、つくづく後悔しながら仰向けに寝ころんだ。体温器を出して見ると六度二分しか無い。二三日前から続いている体温である。……ああ早く退院したい……外の空気を吸いたい……と思い思い眼をつぶると、眼の前に白いハードルが幾つも幾つも並んで見えた。私にはもう永久に飛び越せないであろうハードルが……。
私はすっかりセンチメンタルになりながら、切断された股の付け根を、繃帯の上から撫でて見た。そうして眠るともなくウトウトしていると、突然に又もや扉の開く音がして、誰か二三人這入って来た気はいである。
眼を開いて見るとタッタ今噂をしていた柳井副院長が、新米らしい看護婦を二人従えて、ニコニコしながら近づいて来た。鼻眼鏡をかけた、背のスラリと高い、如何にも医者らしい好男子であるが、柔和な声で、
「どうです」
と等分に二人へ云いかけながら、先ず青木の脚の繃帯を解いた。色の黒い毛ムクジャラの脛のあたりを、拇指でグイグイと押しこころみながら、