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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
Read 不在地主 (ふざいじぬし) by 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 69,990 characters · 141 screens
東京にいる、爵位のある大地主も、時々北海道へやってきて、小作人や村の人達を「家来」に仕立てて、熊狩りをやった。
――S村では、村長を始め※の旦那、校長などは大臣でも来たように「泡を食って」いた。
地主、奥様、御令嬢
自動車二台が真直ぐな村道を、砂塵を後に煙幕のようにモウモウと吹き上げながら、疾走してきた。岸野農場の入口には百十七、八人の小作が、両側に並んで待っている。町へ一日、二日の「出面」を取りに行っているものも休んで出迎えた。
暑かった。皆は何度も腰の日本手拭で顔をぬぐった。
「もう少しな、俺達の忙がしい時にな、来てもらったらええにな。」
「働いてるどこば見てければな。」
「ん、ん、んよ。」
「奥様は何んでも女の大学ば出た人だと。」
「大学?――女の? ホオ!」
「とオても偉い、立派なひとだとよ。」
「女、大学ば出る? 嘘云うな、女の大学なんてあるもんか。……まさか、馬鹿ア、女が……。」
「んだべ、何んぼ偉いたって!」
一かたまり、一かたまり別な事を云っていた。
「な、旦那もう少し優しい人だら一生ケン命働くんだどもな。」
「働いだ事無えから分らないさ。