Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 340,187 characters · 666 screens

Aozora Bunko

たしかに見たのだ!」

源十郎はくしゃみをする前のような奇妙な顔をした。

「…………」

「だから貴様はすでに死んだ。おれに斬り殺されたのだ。そこに立っておるのは貴様の亡者だよ。あはははは、戦わずして勝敗を知る。剣禅一致の妙諦だな」

源十郎も蒼い頬に苦笑を浮かべて、

「勝手なことをいう――」

と刀をおろした時、周囲をまごまごしていた土生仙之助が仲にはいった。

「同士討ちの機ではござるまい。まま御両所、ここは仙之助に免じておひきください」

左膳は口を曲げて笑った。

「なんでえ今ごろ! 気のきかねえ野郎だなあ!」

そして乾雲丸を鞘におさめて、さっさと離庵へはいっていった。

立ち去ろうとする源十郎を、仙之助がぶらさがるように抱きとめて戸内へつれこむ。

まもなく手が鳴っておさよが呼ばれたのは、庵室の三人、これから夜へかけて仲なおりの酒盛り……例によってそのうちお艶が引き出されることだろうが――。

うら木戸のそばに納屋がある。

薪、柴など積みあげてあるそのかげ。

昼間でさえ陽がとどかないで、年中しめった木の臭気がむれている小屋のうしろ。いまは夕ぐれ間近いうそ寒さがほの暗くこめて、上にかぶさる椎の枝から落葉が雨と降るところに。