Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 340,187 characters · 666 screens
いいえ!――とふたりが力をこめて首を振ると、べつに引きとめておくほどのものどもでもないとみてか、
「よし、いけ、足をとめて気の毒だったな」
と許された喜左衛門と富五郎、にげるように先を争って駈け出したが……。
こわいもの見たさに。
塀の曲り角からのぞいてみると、
同じしたくのお捕り役が二、三人ずつ、もうぐるりと手がまわったらしく、屋敷をめぐって樹のかげ、地物の凹みにぴったりと伏さっている――その数およそ二、三十人。
「えらいことになったな」
「だから先刻、婆あさんの手でも取ってしゃにむに引っぱり出せあよかった」
いいながらなおもうかがっていると、捕り手はパッと片手をかざしあって合図をした。と見るや、ツウと地をはうようにたちまち正門裏門をさして寄ってゆく。
が、喜左衛門、富五郎をはじめ、役人のうち誰も、さきほどから、鈴川方の塀の上に張り出ている欅の大木の梢、その枝のしげみに、毒蛇のような一眼がきらめいて、その始終を見おろしていたことを知らなかった。
明るい陽をうけた障子に、チチと鳥影が動くのを、源十郎はしばらくボンヤリと眺めていた。
うすら寒い静寂である。