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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 340,187 characters · 666 screens
そういった可憐なものが、物思わしげに淋しい、なよなよと立つお艶のもの腰に、蔦かずらのようにまつわりついている。
この嬌美にうたれた泰軒、何か珍奇なものを眺めるように、こと改めてしげしげと見つめながら、思うのだった。
――芸者になった……のか!
これもよくよく考えあぐみ、身の振り方を思案しぬいたすえであろうが、芸者に! とはまた思いきったものだ。
それも、源十郎の爪牙から自らを守るため。
ひとつにはいっそう栄三郎をあきれさせ、あきらめさせるあいそづかしの策であろう――ウウム、いっそおもしろかろう! が、ただ……。
つとお艶は顔を上げた。
明眸が露に濡れている。
「先生! つ、艶は、こんな風態になりましてございます。お恥ずかしい――」
「いや! はずるどころか、美しくて結構じゃ、うう、これは皮肉ではない。今も、しんからそう思って見惚れていた、ハハハハ」
「お口のわるい……」
「しかしナ、どこで何をしようと、あんたは栄三郎どのの妻じゃ。それを忘れんように、栄三郎殿になり代わって泰軒がこのとおり頼みますぞ。稼業とはいえ、万一おかしなことでもあったら、仮りに栄三郎殿が許しても、この泰軒が承知せんからそのつもりでいてもらいたい」