Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Read 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 113,429 characters · 227 screens

Aozora Bunko

それだけに噂は村中にひろがり、てんでにかってなことをいいあった。

「芝居がきたというから、行ったんじゃないかな」

「銭もないのに、どうして」

「のぼりやかんばんでも、口あけて見よるかもしれん」

「子どもっちゃ、ものずきなことやの」

一年生の家の者も今は半分笑顔で話しあった。

「いんま、腹へらして、足に豆こしらえて、もどってくるわいの」

「どんな顔して、もどってくるかしらん。阿呆くらいが」

「もどったら、おこったもんかいの、おこらんほうがよかろうか」

「ほめるわけにゃ、いくまいがのう」

こんなのんきそうなことがいえたのも、ソンキの兄や、仁太や富士子の父親たちが迎えに出むいた安心からであった。それにしても、だれひとり大石先生を思いださなかったとは、なんとしたうかつさだったろう。

三人の出迎え人は、本村にさしかかると、これはと思う人に行きあうたびにたずねた。

「ちょっとおたずねですがな、お昼すぎごろに、七八つぐらいの子どもらが十人ほど通ったのを、見ませなんだかいな」

同じことを何べんくりかえしたろう。

そこで、子どもたちはどうしていたろう。

藪の上へまっさきについたのは、いうまでもなくコトエだった。