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めいきょくけっていばん
名曲決定盤
野村 あらえびす
Read 名曲決定盤 (めいきょくけっていばん) by 野村 あらえびす (のむらあらえびす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 344,837 characters · 680 screens
ただ逸することの出来ないのは、グリンカの『疑惑』とフレジェの『角笛』だ。これはシャリアピンも好んで実演に歌ったが、一つは深刻で一つは雄麗で全く美しかった。電気になって入れ直したのもあるが、私は昔のが懐かしい。
珍しいのではフランスの国歌がある。が、それはどうでもいい。私の好みから言えば、もう少しシャリアピン自身も好んで歌ったダルゴミジスキーを入れて貰いたかった。この人の皮肉な暗さが、シャリアピンの陽気さを通して、一種の面白さを醸したものだ。
電気以後のシャリアピンのレコードは手近にあることでもあり、どこででも聞かれるものであると思う。
日本ビクターの十九枚から、傑作を拾い上げると、第一番に『ボリス・ゴドノフ』の「別れ」と「臨終」(JD八六二)のほかに、「時計の場」と「ボリスの独白」(JD二二六)を挙げなければなるまい。これは迫力において、背景の奥深さにおいて、電気の強味を発揮し、電気以前のレコードを顔色無からしめたものだ。
映画のイベールの『ドン・キホーテ』(JF二二―二三)も逸することの出来ないものだろう。これは見た方が面白かったので、シャリアピンのレコードとしてはさまで優れたものでないが、とにもかくにもシャリアピンの映画レコードとしてよき形見であることは疑いを容れない。