Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Read 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 254,021 characters · 495 screens
「まあ、お銀様がお一人で湖水めぐりをなさるんですか」
「いや、そういうわけではない、この手紙の内容によって察すると、弁信殿も、米友公も、よそながらお銀様が遠眼をつけていらっしゃるようだから、ことによると、あの連中をみんな一緒にして、舟を一つ借り切って遊覧をなさるつもりかも知れない、そうでなくても、この浜屋という宿は拙者が心づけをしてあるから、お銀様の身のまわり一切、心得て世話をしてくれるはずだ、ともかく、この七日ばかりの間は、お雪ちゃんと拙者が、万事この王国をあずからなければならん」
「湖水めぐりをなさる時には、必ずわたしも連れて行ってやると、お銀様はおっしゃっておりながら、それに弁信さんとも約束をしていたはずなのに、みんな、わたしを置いてけぼりにして行ってしまいなさるのが口惜しいわ」
「いや、なに、そういうわけではない、あの連中のやることは、てんでに気の向き次第だから、約束が約束にならないところに妙理があるのさ。というものの、我々に後を託して置けばこそ、気まぐれに他出ができるという信頼が、こっちにあるからなんだ。つまり、お雪ちゃんとこの拙者に王国を任せて置けば、七日や十日留守にしたからとて心配がない、と思えばこそなんだ。