Japanese reading practice

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Read 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 368,567 characters · 720 screens

Aozora Bunko

「もっとよく、こちらを向いて見な」

「はい、はい」

背中を向けると、若い船頭の印絆纏――

「ゆききんのぶみよ」

と染めてある、片仮名にしてみれば、「ユキキンノブミヨ」となる。

白雲はそれをながめながら、最初の通りに思案の首をひねる。どう判断しても、この一行の文字の意味がわからないらしい。

「へへ、へへ、これはね、旦那様、潮来の竹屋の女中さんの名で、こうして、わっしにみんなして、気を揃えて、毎年一枚ずつくれるんでございますよ」

「なるほど、そうか」

そこで、白雲が、これは「ユキキンノブミヨ」と一行に読んでしまうからいけない、ゆき、きん、のぶ、みよ、と四つにわけて、四人の名にして読めば、手もなく解釈がつくのだとさとりました。

ところで、この若い船頭さんが、白雲に向って、これをきっかけに、よからぬ事をすすめる。

よからぬ事というのは、どうです、旦那、これから潮来へおいでになって、菖蒲踊りを御見物になりませんか――ということです。

というのは、単に如才ないだけではなく、この提案が成功すれば、二重の役得があるという見込みが十分でしたから、御意によっては、鹿島へ行く舟のへさきを即座に変えて、潮来へじか附けにして差上げますという、透かさないかけひきを、白雲は頭から受けつけず、