Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Read 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 242,044 characters · 477 screens

Aozora Bunko

「ですけれどね、わざわざ先触れをしておいて、丑の刻詣りをする人もないもんじゃありませんか」

「それも、そうですね」

「まあ、なんにしても九ツ半から外へ出さえしなければいいのさ、言われた通りにね」

「なんだか気がかりになるわね」

久助は触らぬ神に祟りなしの態度を取っているが、お雪ちゃんは腑に落ちないものがあって、あきらめきれない。あらためて竜之助に向い、

「先生、御存じですか」

「知らない」

「おかしいわね」

お雪は首をひねって思案してみたが、

「考えたってわかりゃしませんわ、塵劫記とはちがうんですもの、土地の人に聞いてみなければ」

「番頭さんが知らないくらいだから、土地の人だって知っちゃいますまいよ」

と久助がいう。

「年寄の物識りに尋ねたらわかるでしょう」

「それほど詮索をしなくったって、やっぱり郷に入っては郷に従えですよ、こういう晩には早寝に限ります」

「それもそうですね」

お雪は、まだ解ききれない塵劫記の宿題でも残っている心。

その時、お雪は、ふと行燈の下の暗いところで何物をか認め、

「おや、こんなところに櫛が落ちているわよ……」

と拾い上げて、

「まあ、二つに割れていることよ」