Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

おんなごころしゅうい

女心拾遺

矢田 津世子

Read 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) by 矢田 津世子 (やだつせこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,514 characters · 36 screens

Aozora Bunko

けれど、不思議に眼だけがおしもの体を離れようとはせず、知らず知らずに八つ口から入った手が萎びたわが乳房を探り、骨々したわが胸を撫でてみる。そして、「老齢には勝てない」としみじみ自分へ云いきかせ、諦めさせようとするのだが、眼の前の活々としたおしもの体へ視線がいくと、不意に激しい妬心が頭をもたげてきて、それを圧し殺そうとする心から、夫人は常よりも穏やかな口調で、

「ほれ、そこに塵が残っていますよ。もういちど拭きなおして下さい」

と廊下を指さしてみせる。

おしもは畏まって、丸々と肥えた膝頭をついて、大きな乳房をゆさぶりながら熱中して拭きにかかる。そんな動作をくりかえさせながら、夫人の眼ざしは執拗におしもの体を離れない。どこまで、この妬心に耐え得られるかと、まるで、自分を試しているようである。

おしもは多分に神経の間のびた呆んやり者で、ただ、主人大事に豆々しく働いているのが取り得の女であった。一昨年世話する人があって福島在から奉公に上ったのだが、土臭い山だしの小娘も、今では、どうやら作法というようなことを一通り身につけて、客の前へ出されても恥をかかないまでになった。