Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Read 妖虫 (ようちゅう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 120,290 characters · 239 screens

Aozora Bunko

人罠

彼の行手に、どんなに意外な恐ろしい運命が、待ち構えているかも知らないで。

人罠

麹町区六番地の陰気な屋敷町の中に、明治初期の様式の、実に古風な煉瓦造りの二階建てが、ポツンと取残された様に建っている。建物のまわりには、煉瓦造りとは凡そ縁遠い黒板塀が、厳重に建てめぐらされ、石の門に、赤さびた鉄の扉が閉まっている。これが老探偵三笠龍介氏の事務所兼邸宅なのだ。

三笠氏のやり口は、何につけても非常に風変りであったが、この邸宅などは、中にも著しい一例に違いない。この建物の異様なことは、ただ外観丈けではなく、内部の構造も、まるで犯罪者の巣窟ででもある様に、様々のカラクリ仕掛けが施してあって、訪問者を面喰わせるという噂であった。

守青年は、その門前で自転車を降りて、鉄扉を押し試みると、なんなく開いたので、そのまま玄関の石段を上って、ベルを押した。

ベルを押したかと思うと、待ち構えていた様に、ドアが開き、拳闘選手みたいにいかめしい男が顔を出して、呶鳴る様に云った。

「相川さんですか。先生はさっきからお待ちしています。お通り下さい」

入った所はホールになっていて、その正面に、二階への階段の彫りもののある手欄が大蛇の様にうねっていた。