Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
つまのざ
妻の座
壺井 栄
Read 妻の座 (つまのざ) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 82,695 characters · 165 screens
気に入らぬ女となれば花を愛することまでもいやなのだと閑子はいうのである。その花々は閑子がわざわざ郷里からもってきて、野村との新しい生活の中へ移し植えたのだ。そうして閑子は去り、花だけが野村の家の庭に根を下したのだ。閑子に感慨がわかぬ筈はないが、とりにゆくというのはミネは反対だった。そして竹子にも告げずに過ぎたある日、野村から手紙がきた。――庭のあちこちから見知らぬ草が芽を出していると思っていたら、それに花が咲き出しました。閑子さんが植えていったのだと気がついて、毎日花におじぎをしています――。野村の人のよさがしみじみと伝ってくるような手紙であった。ミネはそこをくりかえしてよんだ。あれ以来肩身のせまい思いがして人にあうのも気がひけて、集りにも出てゆかないでいると今日もつけ加えている。そういえばここ暫く、研究会の集りなどに野村の姿を見かけたことがない。閑子との問題が後味わるくて出渋っているのだろうが、そこにも野村の小心さが感じられた。彼には彼の理由があって別れたのだから、堂々と人前に出てきてくれた方がよいのに、野村には「とつおいつ」の面があまりにも多すぎはしないだろうか。