Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いえ
家
島崎 藤村
Read 家 (いえ) by 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,411 characters · 285 screens
いつでも寺の前まで行きかけては、途中から引返した。
「父さんは薄情だ。子供の墓へ御参りもしないで……」
とお雪はよくそれを言った。
寄ると触ると、家では子供の話が出た。何時の間にか三吉の心も、家のものの話の方へ行った。
お雪は姪をつかまえて、夫の傍で種夫に乳を呑ませながら、
「繁ちゃんの亡くなった時は、まだ房ちゃんは何事も知りませんでしたよ。でも、菊ちゃんの時には最早よく解っていましたッけ――あの時は皆な一緒に泣きましたもの」
「なアし」とお延も思出したように、「あれを思うと、房ちゃんが眼に見えるようだ」
「真実に、繁ちゃんの時は皆な夢中でしたよ――私が、『御覧なさいな、繁ちゃんはノノサンに成ったんじゃ有りませんか』と言えば、房ちゃんと菊ちゃんとも平気な顔して、『死んじゃったのよ、死んじゃったのよ』と言いながら、棺の周囲を踊って歩きましたよ。そして、死んだ子供の側へ行って、噴飯すんですもの」
「まあ」
「しかし、二人とも達者でいる時分には、よく繁ちゃんの御墓へ連れて行って、桑の実を摘って遣りましたッけ。繁ちゃんの桑の実だからッて教えて置いたもんですから、行くと――繁ちゃん桑の実頂戴ッて断るんですよ。