Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Read 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) by Natsume Sōseki (夏目 漱石) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 195,333 characters · 385 screens

Aozora Bunko

二十七

それはむしろ薄い小形の本だったので、ついほかのものの向側へ落ちたなり埃だらけになって、今日まで僕の眼を掠めていたのである。

二十七

僕にこの本を貸してくれたものはある文学好の友達であった。僕はかつてこの男と小説の話をして、思慮の勝ったものは、万事に考え込むだけで、いっこう華やかな行動を仕切る勇気がないから、小説に書いてもつまらないだろうと云った。僕の平生からあまり小説を愛読しないのは、僕に小説中の人物になる資格が乏しいので、資格が乏しいのは、考え考えしてぐずつくせいだろうとかねがね思っていたから、僕はついこういう質問がかけて見たくなったのである。その時彼は机上にあったこの本を指して、ここに書いてある主人公は、非常に目覚しい思慮と、恐ろしく凄まじい思い切った行動を具えていると告げた。僕はいったいどんな事が書いてあるのかと聞いた。彼はまあ読んで見ろと云って、その本を取って僕に渡した。標題にはゲダンケという独乙字が書いてあった。彼は露西亜物の翻訳だと教えてくれた。僕は薄い書物を手にしながら、重ねてその梗を彼に尋ねた。彼は梗※(「(漑-さんずい)/木」、第3水準1-86-3)などはどうでも好いと答えた。