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のちのなりひらぶんじ

後の業平文治

三遊亭 円朝

Read 後の業平文治 (のちのなりひらぶんじ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,545 characters · 216 screens

Aozora Bunko

文「いや大事ない、ひもじい時に不味(まず)い物なし、是非一飯売って貰いたい、大分(だいぶ)身体も暖まって来た」

と御飯の出来るのを待って居りますと、

老「旦那様、お飯(めし)が出来やしたが、菜(さい)は何もありませんぜ、只玉味噌(たまみそ)の汁と大根のどぶ漬があるばかりだ」

文「何(なん)でも苦しゅうない、そんなら一飯頂かして下さい」

と文治は漸(ようよ)う飢(うえ)を凌(しの)ぎまして、

文「これ/\親父殿(おやじどの)、これは些(いさゝ)かであるが、ほんのお礼の印だ」

老「やア旦那様、こんなに頂いちゃア済まねえな」

文「どうか受納して貰いたい」

老「はい/\恐入ります、有難う存じます」

文治は支度そこ/\猟師の家を立去りまして、三俣へ二里半、八木沢(やぎさわ)の関所、荒戸峠(あらどとうげ)の上下(じょうげ)二十五丁、湯沢(ゆさわ)、関宿(せきじゅく)、塩沢(しおざわ)より二十八丁を経て、六日町へ着(ちゃく)しました。其の間(あいだ)凡(およ)そ九里何丁、道々も手掛りの様子を聞きつゝまいりますこと故、なか/\捗取(はかど)りませぬ。