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のちのなりひらぶんじ
後の業平文治
三遊亭 円朝
Read 後の業平文治 (のちのなりひらぶんじ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,545 characters · 216 screens
ものはねえだ、まアその形(なり)じゃア仕様がねえだ、これ婆(ばゞ)アどん、女の着るもんが有るなら出してくんろ、さア熊女、この着物を着るが宜(い)いだ」
町「はい、有難う存じます、そのお寺と申すは余程山奥でございましょうか」
紋「なアに、山ア一つ越すべえで、そうさ、これから十丁もあるかな」
町「そうでございますか、私は其の山奥が大好(だいすき)でございます」
喜「ひやア山奥が好きだてえぞ、それい/\化物だんべえ」
町「なるたけ人の目に掛らんのが宜しいのでございます」
田舎殊(こと)に山間の僻村(へきそん)では別に手習師匠もござりませんので、寺の住持が片手間に教えて居ります。その住持も近頃居りませんので、お町は日々(にち/\)子供を相手にして、せい/″\仮名尽(かなづくし)や名頭(ながしら)ぐらいを指南して居ります。偶(たま)には歌などを書くことも有ります。何しろ熊女が書いたというので土地では大(おお)評判、新潟あたりへ聞えることもござります。一日(いちじつ)名主紋左衞門が寺へやってまいりまして、
紋「ひやア御免下せえまし」
町「これは/\名主様、ようお出でなさいました、さア何(ど)うか此方(こちら)へお通り下さいまし」