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のちのなりひらぶんじ
後の業平文治
三遊亭 円朝
Read 後の業平文治 (のちのなりひらぶんじ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,545 characters · 216 screens
近「はゝア」
と殿様のお手を取って奥へ連れ込んでしまいました。老臣數馬は容(かたち)を正し、
數「これ大伴氏(うじ)、いや先生もう少しお進みなされ、さて先生、この婦人は何(いず)れからお連れなすった、御殿女中なら御宰(ごさい)(下供(したども))を連れべき筈なるに、男一人(いちにん)同道するとは如何(いか)にも不審と承わりましたゆえ、御殿へまいり、篤(とく)と様子を取調べました処、左様な女はござらぬという、さア何処(いずこ)の奥からお連れになりました、大伴氏如何(いかゞ)でござるな」
と問詰められて、流石(さすが)の悪漢(あっかん)も返す言葉なく、
蟠「えゝ/\これはその何(なん)でござる、実は先日朋友(ほうゆう)がまいりまして、八丁堀辺の侍の娘で、御殿奉公を致して居(お)る者であるが、至って碁好(ずき)な娘、折があったら御前へととと取持(とりもち)を頼まれまして」
と苦しまぎれの出鱈目(でたらめ)を云って居りまする。
二十
時に妻木數馬は、
數「いやさ、御殿女中とは真赤(まっか)な偽りでござろう、尤(もっと)も衣類簪(かんざし)の類(るい)は好(よ)う似て居(お)るが、髪の風(ふう)が違いますぞ、これはお旗下か諸役人衆(しゅ)の女中の結い方、御城中並びに御三家とも少しずつ区別があると申す