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げさくしゃ
戯作者
国枝 史郎
Read 戯作者 (げさくしゃ) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 10,218 characters · 21 screens
蔦屋重三郎の帰った後、京伝は大袈裟にこう云いながら性急に机へ向かったが、性来の遅筆はどうにもならず、ただ筆を噛むばかりであった。
そこへのっそりと入って来たのは居候の馬琴である。
「あ、そうだ、こいつア宜い」
何と思ったか京伝はポンと筆で机を打ったが、
「滝沢さん、頼みますぜ」
藪から棒に云ったものである。
「何でござるな」と云いながら、六尺豊かの偉大な体をずんぐりとそこへ坐らせたが、馬琴は不思議そうに眼をパチつかせる。
「偉いお荷物を背負い込んでね、大あぶあぶの助け船でさあ。実は……」と京伝は蔦屋との話をざっと馬琴へ話した後、
「新年と云っても逼って居りやす。四編はどうでも書かずばなるまい。とても私の手には合わず、さりとて今更断りもならず、四苦八苦の態たらくでげす。――いかがでげしょう滝沢さん、代作をなすっちゃア下さるまいか?」
とうとう切り出したものである。
「代作?」と云って渋面を作る。
馬琴には意味が呑み込めないらしい。
「左様、代作、不可せんかえ?」
「……で、筋はどうなりますな?」
「ああ筋ですか、胸三寸、それはここに蔵して居ります」
ポンと胸を叩いたが、それから例の落語口調でその「筋」