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さんげ
散華
Read 散華 (さんげ) by Dazai Osamu (太宰 治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 10,172 characters · 21 screens
「僕の顔にだって、欠点はあるんですよ、誰も気がついていないかも知れませんけど。」とさえ言った事などもあり、とにかく一座を賑やかに笑わせてくれたものである。
戸石君は、果して心の底から自惚れているのかどうか、それはわからない。少しも自惚れてはいないのだけれども、一座を華やかにする為に、犠牲心を発揮して、道化役を演じてくれたのかも知れない。東北人のユウモアは、とかく、トンチンカンである。
そのように、快活で愛嬌のよい戸石君に比べると、三田君は地味であった。その頃の文科の学生は、たいてい頭髪を長くしていたものだが、三田君は、はじめから丸坊主であった。眼鏡をかけていたが、鉄縁の眼鏡であったような気がする。頭が大きく、額が出張って、眼の光りも強くて、俗にいう「哲学者のような」風貌であった。自分からすすんで、あまりものを言わなかったけれども、人の言ったことを理解するのは素早かった。戸石君と二人でやって来る事もあったし、また、雨にびっしょり濡れてひとりでやって来た事もあった。また、他の二高出身の帝大生と一緒にやって来た事もあった。三鷹駅前のおでん屋、すし屋などで、実にしばしば酒を飲んだ。