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にっき
日記
宮本 百合子
Read 日記 (にっき) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 61,953 characters · 124 screens
八月二十三日
八月二十四日
八月二十三日(火曜)
何心なく、下を見て、今日は、あの戦争に、少くとも日本が参加したらしくなった時だと知った。
神棚に燈明を捧げた時の緊張を想起す。
八月二十四日(水曜)
きのう学習院から手紙で、どうしても来学期から来て呉れるようにと云って来る。急に帰ると云い出され、午後五時三分の汽車で立つことにする。余り急なので間誤付くより、皆の失望したいやな顔を見ると、憤ろしいような気分がした。まして、体の工合が悪い。帰りたくないものをかえす場合、かえりたくないのを帰ろうとする時、憤りに似た感情が湧く。
停車場まで兄上、たけを、父上まで送って来て下さる。
米原まで、すぐ前に東京の男が居、すき通る黒い着物に角帯、黒い紐で時計を懐に入れ、中途を、何かいきな茶黄色いくり物でとめ、黒地に金泥で書いた支那扇子を持って居る。円い小さい顎、重い大きな鼻、情熱的な瞳、強い印象を自分に与えた。米原で女に会い、その女は、待合室へ琴謡などをうたい乍ら人形の大きなのを抱いて、時々なかせて居るように、娘々した端はな女だった。米原からやっと寝台がとれた。
八月二十五日(木曜)
東京は涼しい。