Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Read 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) by 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 18,172 characters · 36 screens

Aozora Bunko

幸いと、赤十字社の難波博士が主侯の診察に来られる定日だったので、あたしは肋膜炎の手当がほどこされた。冬のはじめのことだった。

赤十字病院へ入れるにしても、暖かい日の真昼、釣台でといわれたのを、母は家へ連れて帰りたいと願った。彼女も死ぬと思ったのであろう。あたしは夢中で、暫らく帰らない家も見たいとも思っていた。送るものは、早く癒って、また帰って来なさいと、主侯夫妻まで部屋に来て見送ってくださったが、命冥加にもどうやら命はとりとめた。二月の末に、病みあがりの、あと養生もしないで邸へ帰った。その時は息切れが甚いくらいでわからなかったが、喘息がその次の冬になってあたしを苦しめ、心臓も悪かった。でも、どうにか押し隠して、自分の自由のある夜の世界を楽しんでいたが、息切れと、膝関節炎になって、日本館の長い廊下や、西洋館の階段を終日歩き廻る役は、だんだんつらくなって、人の見ていない時は這ったりしだした。

足かけ三年目の初夏、奉公をさげられた。あたしは家にいて、また裁縫や解きものの時間を利用しだした。

おかしな事に、肋膜で病らったあの大病のあとの、短い日数のうちに、あたしは竹柏園へ入門していることだ。