Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ふくろうのめ

梟の眼

大倉 燁子

Read 梟の眼 (ふくろうのめ) by 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,354 characters · 23 screens

Aozora Bunko

世界的の名人

私もせめて、一目拝みたいと思ってるんですが――」

とすっかり隔てがとれて、まるで仲間同志に話しかけているような調子だった。

あれほどまでに思い込んでいたダイヤだのに、どうしたものか、今はもうちっとも欲しくなくなった。返してしまってからは、反ってさばさばとして、心が軽くなる位であった。

薄墨色の女が帰ると直ぐに陽子は実家へ行って、春樹に会い、昨夜からの出来事を話し、

「ダイヤを渡してやッたけれど、――大丈夫でしょうか、私、補助罪になりやしないかと思って――」

「現行犯でなければ大丈夫さ。尤も前科があれば別だけれど――、とにかくそれほどの女だ、心配はないよ。――そして、何かい、世界的の奴が観光団に交って来ているんだって? そいつあ愉快だな、その女を俺に紹介してくれないかなあ」と春樹は眼を輝かせて云うのだった。

世界的の名人

観光団歓迎の大舞踏会は、グランド・ホテルの大ホールで開かれた。

平松春樹は瀟洒たる服装で、美しく着飾った妹の陽子を伴い、会場へ急いだ。入口には主催者側の紳士淑女がずらりと十数名一列に並んで、来客を受けていた。陽子はちょっと気後れがしたように躊躇っていたが、兄を顧みて口早に云うのだった。