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なりひらぶんじひょうりゅうきだん
業平文治漂流奇談
三遊亭 円朝
Read 業平文治漂流奇談 (なりひらぶんじひょうりゅうきだん) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 159,974 characters · 317 screens
夏の雨でございますから其の中(うち)晴れた様子、代を払って出て行(ゆ)きます。先へ探偵(いぬ)に廻ったのは篠崎竹次郎(しのざきたけじろう)という門弟でございます。此の竹次郎がお茶の水の二番河岸(にばんがし)へ参りますと、其の頃お茶の水はピッタリ人が通りません。
竹「先生々々」
「おー」と答えて二番河岸から上って来たのは大伴蟠龍軒、暑いのに頭巾を冠(かぶ)り、紺足袋雪駄穿きでございます。
蟠「竹、どうした、目腐れ親父はどうした」
竹「只今これへ参ります、今牛込(うしごめ)の蕎麦屋から出ましたのを見届けました、水戸殿(みとどの)の前を通って参ります」
蟠「もう程(ほど)のう参るか」
竹「参ります」
蟠「手前先へ帰れ」
竹「宜しゅうございますか」
蟠「却(かえ)って大勢居(お)ると目立って能くない」
竹「はい/\」
と竹次郎は帰って行(ゆ)きました。蟠龍軒は高い処へ上って向うから来るかと見下(みおろ)す、処が人の来る様子がございませんから、神田の方から人が来て認められては適(かな)わぬと思いまして、二番河岸の根笹(ねざさ)の処へ蹲(しゃが)んで居りますと、左官の亥太郎が来ました。