Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うたあんどん
歌行灯
泉 鏡花
Read 歌行灯 (うたあんどん) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 36,094 characters · 72 screens
この時な、その繋り船に、長崎辺の伯父が一人乗込んでいると云うて、お小遣の無心に来て、泊込んでおりました、二見から鳥羽がよいの馬車に、馭者をします、寒中、襯衣一枚に袴服を穿いた若い人が、私のそんなにされるのが、あんまり可哀相な、とそう云うて、伊勢へ帰って、その話をしましたので、今、あの申しました。……
この間までおりました、古市の新地の姉さんが、随分なお金子を出して、私を連れ出してくれましたの。
それでな、鳥羽の鬼へも面当に、芸をよく覚えて、立派な芸子になれやッて、姉さんが、そうやって、目に涙を一杯ためて、ぴしぴし撥で打ちながら、三味線を教えてくれるんですが、どうした因果か、ちっとも覚えられません。
人さしと、中指と、ちょっとの間を、一日に三度ずつ、一週間も鳴らしますから、近所隣も迷惑して、御飯もまずいと言うのですえ。
また月の良い晩でした。ああ、今の御主人が、親切なだけなお辛い。……何の、身体の切ない、苦しいだけは、生命が絶えればそれで済む。いっそまた鳥羽へ行って、あの巌に掴まって、(こいし、こいし、)と泣こうか知らぬ、膚の紐になわつけて、海へ入れられるが気安いような、と島も海も目に見えて、ふらふらと月の中を、千鳥が、冥土の使いに来て、連れて行かれそうに思いました。