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しまでをかたる

死までを語る

直木 三十五

Read 死までを語る (しまでをかたる) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 42,739 characters · 85 screens

Aozora Bunko

隠居の志が可成り、深い所に潜んでいるらしい。

何か一つ、ショックを受けたら、私のような人間――負けずぎらいで無理してきた人間は、一度に敗けて、田舎へ逃げるかもしれぬ。

こういう事が無くても、一人で飯を焚き、一人で暮らしている生活をしたい望をもっている。だが、私の係累は、ことごとく、私より若く、強い。矢張り、私は働きづめに死ぬのだろう。

三十三

私が早大を卒業――というのはおかしいが、クラスメートが卒業したので、私も遊びに行けなくなった時に、もう小説を書いて、売出していたのが、谷崎精二、広津和郎、舟木重信氏らで、国枝史郎が「レモンの花の咲く丘へ」とか「胡弓の弦の咽び泣き」とかという題の作を出したのもその頃である。

同級生の中では、同じ姓が、競争させるのであろう。細田民樹と、源吉とが「早稲田文学」へ創作を発表した。卒業の前から、保高徳蔵は「読売新聞」に新設された婦人欄の記者として、試験をパスして、就職するし、鷲尾浩が、レートの広告部へ入って、月給四十円。

「うまい事しやがったな」

と、吾々は、その月給の高を羨んだ。田中純に、宮島新三郎などは、相馬御風氏から仕事をもらっているらしいし、西条八十は、株式相場で生活していると聞くし、それぞれ生活の心配が、何うにかなくなって行く内に、いつまでも職の無いのが、青野