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ゆなのたましい
湯女の魂
泉 鏡花
Read 湯女の魂 (ゆなのたましい) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 27,936 characters · 55 screens
「ちょいと託ける事があるのだから、折角見えたものを情なく追帰すのも、お気の毒だと思って、通して上げましたがね、熟として待っていなさい。私の方に支度があるのだから、お前さんまた大きな声を出したり、威張ったり、お騒ぎだと為になりませんよ。」
と頭から呑んでかかって、そのままどこかへ、ずい。
呑まれた小宮山は、怪しい女の胃袋の中で消化れたように、蹲ってそれへ。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と、風が引いたり寄せたりして聞えまする、百万遍。
忌々しいなあ、道中じゃ弥次郎兵衛もこれに弱ったっけ、耐ったものではないと、密と四辺をしますると、塵一ッ葉も目を遮らぬこの間の内に床が一つ、草を銜えた神農様の像が一軸懸っておりまするので、小宮山は訳が解らず、何でもこれは気を落着けるにしく事なしだと、下ッ腹へ力を入れて控えておりまする。またしても百万遍。小宮山はそれを聞くと悪寒がするくらい、聞くまい、聞くまいとする耳へ、ひいひい女の泣声が入りました。屹となって、さあ始めやがった、あン畜生、また肋の骨で遣ってるな、このままじゃ居られないと、突立ちました小宮山は、早く既にお雪が話の内の一員に、化しおおしたのでありまする。