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かやくせん
火薬船
海野 十三
Read 火薬船 (かやくせん) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 61,552 characters · 124 screens
おい、ちょっといってくるぞ」
水夫竹見は、軽く甲板を蹴って、船橋へのぼる階段の方へ歩いていった。
船橋では、虎船長をはじめ、一等運転士や事務長以下の首脳者が、しきりに、はるかの海面を指して、そこに視線をあつめている。
「おお、あの船が、やっと旗を出した」
「なるほど、あれはノールウェーの旗ですな、ノールウェーの船とは、ちかごろめずらしい」
いま船橋で話題にのぼっているのは、さっきまでこの平靖号を臨検していたわが駆逐艦が、その臨検中に見つけた新しい一隻の怪船のことだった。わが駆逐艦は、その間近かにせまっている。そのとき怪船は、とつぜんノールウェーの国旗を船尾にさっと立てたのである。
「どうもあのノールウェー船はあやしいよ。むこうも貨物船だが、あのスピードのあることといったら、さっきは豆粒ほどだったのが、今はこうして五千メートルぐらいに近づいている」
「ノーマ号と、船名がついていますぜ、一体なにをつんで、どこへいく船なのかなあ」
「きっと軍需品をつんでいるよ、あのかっこうではね。たしかにあやしいことは素人にもそれとわかるのに、ノールウェーでは、海軍さんも手の下し様がないんだろう」