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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Read 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 101,908 characters · 204 screens
「なるほど、それならいいかもしれないが、やっぱり、後が気味がわるいねえ」
「でも、こんなわるいやつが、いるのをしっていて、だまっていられませんわ。そうすることが、たくさんの人のためになるんです。あたし、あとで一人になったとき、手紙を書きますわ」
房枝は、あくまで、悪者にたちむかおうという決心をしめした。そのときであった。幕のむこうから、へんに、しわがれたこえでよびかけた者がある。
「房枝、きいているぞ。この小屋を、爆発させていいのだな」
「えっ!」
房枝は、びっくりして、うしろをふりかえった。そこには幕が下っているばかりであった。黒川にも、このへんなこえは耳に入った。
「ほら、みなさい、房枝。お前が、女のくせに、そんなむちゃなことをやろうとするからいけないのじゃ。もう、そんなことは、しませんと申し上げろ。さあ早く、申し上げんか」
「はい、じゃあ、やめます」
房枝は、そういわないわけにはいかなかった。
すると、幕のかげからは、例のしわがれたこえが、
「それを忘れるな。きっと忘れるな。おれたちは、いつでもお前たちを、にらんでいるのだ」
このしわがれたこえをきいていると、団長も房枝も、身の毛がよだつようにも感じるし、また曲馬団の前途を思って、なさけなさに、涙がこみあげてくるのをどうしようもなかった。