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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Read 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,810 characters · 225 screens
後姿はいかにも相変らずのあなたです。ちらりと見送り、おお何と珍しいと浴衣の肩をふって歩いていらっしゃる瞬間の印象を全心にうけた。だって何年ぶりでしょう※(疑問符感嘆符、1-8-77) あなたの全身を動作の中で眺めたというのは。――
お話の本は、私は普通の図書目録だと勘ちがいしていて、それなら何かいろいろの目録でよいという風に考えていた。今日東京堂へ行って揃えてお送りします。
けさ、七月二十七日に書いて下さった手紙がテーブルの上にのっていた。きのうはいろいろくたびれて、夜は珍しく九時頃から床に横になり月を眺めながら、ひるまのいろいろのことを思ううちにうとうとと眠り、十二時頃目を一寸さまし、又暫く目をさましていてもう月は屋根のむこうに沈んだが、ベッドの中ですこし片側へよって、又いつか眠るまであなたとお喋りをした。時々撫でてあげながら。――
あなたのガクガク的調子をユリが悄気なかったかと思って下さること、ありがとう。悄気ることはなかろうという御想像は全く当っています。私はあなたに対しては私に向ってされるすべてからいつも最善の、そして、最愛の正当な理解をくみとるのをつとめてもいるし、お互の誠意の当然の結果として必ずそうあるのです。