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ごくちゅうしょうそく
獄中消息
大杉 栄
Read 獄中消息 (ごくちゅうしょうそく) by 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 57,149 characters · 114 screens
二、三時間ばかり寝て、ようやく正気がついた。それから一日狭い蒸し殺されるような室に待たされていたんだ。
きょうもまた裁判だ。ほんとうにいやになっちまう。面倒くさいことは何にも要らないから、何とでも勝手に定めて、早くどこへでもやってくれるがいいや。
ここまで書いたら、いよいよ出廷だと言って呼びに来た。さよなら。
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伊藤野枝宛・大正八年八月十日
知れてはいるだろうと思うが、念のために言って置く。保証金弐拾円で保釈がゆるされた。今日は日曜で駄目だろうが、明朝早くその手続きをしてくれ。
豊多摩から
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伊藤野枝宛・大正九年一月十一日
この五日からようやく寒気凛烈。そろそろと監獄気分になって来た。例の通り終日慄えて、歯をガタガタ言わせながら、それでもまだ風一つひかない。朝晩の冷水摩擦と、暇さえあればの屈伸法とで奮闘している。屈伸法のお蔭か腹が大ぶ出て来た。
室は南向きの二階で、天気さえよければ一日陽がはいる。見はらしもちょっといい。毎日二時間ばかりの日向ぼっこもできる。この日向ぼっこで、どれだけ助かるか知れない。この監獄の造りは、今までいたどこのともちょっと違うが、西洋の本ではお馴染の、あのベルクマンの本の中にある絵、そのままのものだ。