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こうしゅうちんぶたい

甲州鎮撫隊

国枝 史郎

Read 甲州鎮撫隊 (こうしゅうちんぶたい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,891 characters · 28 screens

Aozora Bunko

お力は、行燈の灯を吹消した。

片がついた

鎮撫隊より一日早く、甲府城まで這入った、板垣退助の率いた東山道軍は、勝沼まで来ていた近藤勇たちの、甲州鎮撫隊を、大砲や小銃で攻撃し、笹子峠を越えて逃げる隊土たちを追撃した。三月六日のことである。

沖田総司を尋ねて、ここまで来たお千代は、峠の道側の、草むらの中に立って、呆然としていた。あちこちから、鉄砲の音や、鬨の声が聞え、谷や山の斜面や、林の中から、煙硝の煙が立昇ったり、眼前の木立の幹や葉へ、小銃の弾があたったりしていた。そうして、鎮撫隊士が、逃下る姿が見えた。隊士たちは、口々に云っていた。

「敵わん、飛道具には敵わん!――精鋭の飛道具には」と。――

一人の隊士が肩に負傷し、よろめきよろめき逃げて来た。お千代は走寄り、取縋るようにして訊いた。

「沖田総司様は、……討死にしましたか?……それとも……」

「ナニ、沖田総司?」

と、その隊士は、不審そうにお千代を見たが、

「いや、沖田総司なら……」

しかしその時、流弾が、隊士の胸を貫いた。隊士は斃れた。お千代は仰天し、走寄って介抱したが、もう絶命れていた。

(妾ア何処までも総司様の生死を確める)