Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はいたい
胚胎
宮本 百合子
Read 胚胎 (はいたい) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 27,077 characters · 55 screens
あまり早くから学者のむずかしい八の字だらけの顔を見たものの特典でのう。
老人 ああ、ああ、ぶしつけでござりますがわたくしはもう眠とうなりましたでの、居眠りながら貴方様とお話致すがまことにうれしいのでござる。
大変年を取った老人は苦のない安らかな顔をして王の手を持ったまま長椅子の少し前よりもはじによった方に行く。
王の顔にはたえがたい苦痛の色が現れて居るがこの老人の話に幾分まぎらされて居るらしい様子。
王 いくら暖いと申しても冬じゃ、意志の悪い風邪にとりつかれるといけぬわ。
老人 貴方様ばかりでのう、そう云うて下さるのも。
――――
涙もろく老人はうるんだ声で云う。
王 わしが今そちの事に心を配るよりいく倍もいく倍も多くわしの事にそちは心配してお呉れやったもののう。
老人は王の云うのには答えず。
老人 母御の懐のむちゃにこいしゅうてござった頃貴方様はこの子守唄がおすきでのう。
美しい絹の帳をたれた揺籃をまだ血気でござったわたくしの白うて力のある手でおだやかな波の上を行く小船の様にゆーらり、ゆーらりとふりながらのう、貴方様。
母親のたまものの人に賞められた声で夜の来る毎にうたったものでござりまする。