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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Read 草迷宮 (くさめいきゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 71,733 characters · 142 screens
と、むっくり起きたが、その酒樽の軽いのに、本性違わず気落がして、右の、倒れたものでござりますよ。はい。」
七
「仰向様に、火のような息を吹いて、身体から染出します、酒が砂へ露を打つ。晩方の涼しさにも、蚊や蠅が寄って来る。
奴は、打っても、叩いても、起ることではござりませぬがの。
かかり合は免れぬ、と小力のある男が、力を貸して、船頭まじりに、この徒とて確ではござりませなんだ。ひょろひょろしながら、あとのまず二樽は、荷って小売店へ届けました。
嘉吉の始末でござります。それなり船の荷物にして、積んで帰れば片附きますが、死骸ではない、酔ったもの、醒めた時の挨拶が厄介じゃ、とお船頭は遁を打って、帆を掛けて、海の靄へと隠れました。
どの道訳を立ていでは、主人方へ帰られる身体ではござりませぬで、一まず、秋谷の親許へ届ける相談にかかりましたが、またこのお荷物が、御覧の通りの大男。それに、はい、のめったきり、捏でも動かぬに困じ果てて、すっぱすっぱ煙草を吹かすやら、お前様、嚔をするやら、向脛へ集る蚊を踵で揉殺すやら、泥に酔った大鮫のような嘉吉を、浪打際に押取巻いて、小田原評定。