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くさめいきゅう

草迷宮

泉 鏡花

Read 草迷宮 (くさめいきゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 71,733 characters · 142 screens

Aozora Bunko

「嘘を吐け、またはじめた。大方、お前が目の前で、しゃぼん球のように、ぱっと消えてでもなくなったろう、不思議さな。」

「違えます、違えますとも!」

仁右衛門の後を打ちながら、

「その人が、

(爺様、この里では、今時分手毬をつくか。)

(何でね?)

(小児たちが、優しい声、懐しい節で唄うている。

ここはどこの細道じゃ、

秋谷邸の細道じゃ……)

一件ものをの、優しい声、懐しい声じゃ云うて、手毬を突くか、と問わっしゃるだ。

とんでもねえ、あれはお前様、芋※の葉が、と言おうとしたが、待ちろ、芸もねえ、村方の内証を饒舌って、恥掻くは知慧でねえと、

(何お前様、学校で体操するだ。おたま杓子で球をすくって、ひるてんの飛っこをすればちゅッて、手毬なんか突きっこねえ、)と、先生様の前だけんど、私一ツ威張ったよ。」

「何だ、見ともない、ひるてんの飛びっことは。テニスだよ、テニスと言えば可い。」

「かね……私また西洋の雀躍か、と思ったけ、まあ、可え。」

「ちっとも可かあない、」

と訓導は唾をする。

「それにしても、奥床しい、誰が突いた毬だろう、と若え方問わっしゃるだが。

のっけから見当はつかねえ、けんど、主が袂から滝のように水が出るのを見るにつけても、何とかハイ勘考せねばなんねえで、その手毬を持って見た、」