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こんにゃくぼん

菎蒻本

泉 鏡花

Read 菎蒻本 (こんにゃくぼん) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 14,957 characters · 30 screens

Aozora Bunko

「で、さてこれを何にいたすとお思いなさいます。懺悔だ、お目に掛けるものがある。」

「大変だ、大変だ。何だって和尚さん、奴もそれまでになったんだ。気の毒だと思ってその女がくれたんだろうね、緋の長襦袢をどうだろう、押入の中へ人形のように坐らせた。胴へは何を入れたかね、手も足もないんでさ。顔がと云うと、やがて人ぐらいの大きさに、何十挺だか蝋燭を固めて、つるりとやっぱり蝋を塗って、細工をしたんで。そら、燃えさしの処が上になってるから、ぽちぽち黒く、女鳴神ッて頭でさ。色は白いよ、凄いよ、お前さん、蝋だもの。

私あ反ったねえ、押入の中で、ぼうとして見えた時は、――それをね、しなしなと引出して、膝へ横抱きにする……とどうです。

欠火鉢からもぎ取って、その散髪みたいな、蝋燭の心へ、火を移す、ちろちろと燃えるじゃねえかね。

ト舌は赤いよ、口に締りをなくして、奴め、ニヤニヤとしながら、また一挺、もう一本、だんだんと火を移すと、幾筋も、幾筋も、ひょろひょろと燃えるのが、搦み合って、空へ立つ、と火尖が伸びる……こうなると可恐しい、長い髪の毛の真赤なのを見るようですぜ。

見る見る、お前さん、人前も構う事か、長襦袢の肩を両肱へ巻込んで、汝が着るように、胸にも脛にも搦みつけたわ、裾がずるずると畳へ曳く。