Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ちぬられたかいとう
血ぬられた懐刀
国枝 史郎
Read 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 35,586 characters · 71 screens
殺せ殺せ、目茶苦茶に殺せ! 聚楽の栄華も先が知れている」
こう呟いた者があったが、刺繍の肩衣に前髪立の、眼のさめるような美少年であった。美童は不破伴作であった。
狂人じみた目付きをして、秀次は大広間を見廻したが、
「目障りになる! 片付けろ! 死骸は厭だ! 井戸へでも沈めろ!」
それから千浪を引きずったが、
「今夜の伽だ! 嬉しそうに笑え!」
で、襖を開けようとした。
と、その襖が向こうから開いて、
「孫七郎様」と云う声が聞こえてきた。優しくて穏かではあったけれど、威厳のある老女の声であった。
つと立ちいでた人物がある。
円頂黒衣鼠色の衣裳、手に珠数をつまぐっている。眉長く鼻秀で、額は広く頤は厳しい。澄んではいるが鋭い眼、頬に無数の皺はあるが、かえって顔を高貴にしている。
これこそ女傑幸蔵主であった。
「相変わらずのお悪戯でござりますか」
あたかも子供でもあしらうように、こう秀次に云いかけたが、咎めるような調子はなくて、なだめるような調子があった。そうしてそれが大広間の殺気と、秀次の兇暴の心持とを、平和な甘いものにした。
「幸蔵主の姥か」と鼻白んだように、秀次は千浪の手を放したが、