Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
せきがいせんおとこ
赤外線男
海野 十三
Read 赤外線男 (せきがいせんおとこ) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 38,889 characters · 78 screens
元の暗闇が帰って来たけれど、皆の網膜には白光が深く浸みこんでいて、闇黒がぼんやり薄明るく感じた。スクリーンの前では雁金検事が、しきりに眼をしばたたいていた。
ウームというような低い呻り声が聞えたと思った。ドタリ……と、大きな林檎の箱を仆したような音が、それに続いて起った。
素破、異変だ!
「どッどうした」
「まッ窓だ窓だ窓だッ」
「ランプ、ランプ、ランプ!」
さーッと、窓から白光が流れこんだ。ネオン灯もいつの間にか点いた。
「キャーッ」と喚いてカーテンに縋りついたのは、窓のところへ駈けよったばかりの白丘ダリアだった。床の上には、幾野捜査課長が土のような顔色をし、両眼を剥きだし、口を大きく開けて仆れていた。
もう赤外線テレヴィジョンも何もなかった。窓という窓は明け放された。室内の一同の顔には生色がなかった。
「赤外線男!」
「ああ、あいつの仕業だ」
いまにも自分の身体に、赤外線男の猿臂がムズと触れはしないかと思うと、恐ろしい戦慄が電気のように全身を走った。眼に見えない敵! そいつをどう防げばいいのだ。どうして其の魔手から遁れればいいのだ。
そのとき帆村探偵は、一人進み出て、捜査課長を抱え起した。