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しっぽうのはしら
鏡花短編集
泉 鏡花
Read 鏡花短編集 (しっぽうのはしら) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,632 characters · 32 screens
出額でまたこう、しゃくうように人を視た工合が、これで魂が入ると、麓の茶店へ下りて行って、少女の肩を大な手で、
「どうだ。」
と遣りそうな、串戯ものの好々爺の風がある。が、歯が抜けたらしく、豊な肉の頬のあたりにげっそりと窶の見えるのが、判官に生命を捧げた、苦労のほどが偲ばれて、何となく涙ぐまるる。
で、本文通り、黒革縅の大鎧、樹蔭に沈んだ色ながら鎧の袖は颯爽として、長刀を軽くついて、少し屈みかかった広い胸に、兵の柄のしなうような、智と勇とが満ちて見える。かつ柄も長くない、頬先に内側にむけた刃も細い。が、かえって無比の精鋭を思わせて、颯と掉ると、従って冷い風が吹きそうである。
別に、仏菩薩の、尊い古像が架に据えて数々ある。
みどり児を、片袖で胸に抱いて、御顔を少し仰向けに、吉祥果の枝を肩に振掛け、裳をひらりと、片足を軽く挙げて、――いいぐさは拙いが、舞などしたまう状に、たとえば踊りながらでんでん太鼓で、児をおあやしのような、鬼子母神の像があった。御面は天女に斉しい。彩色はない。八寸ばかりのほのぐらい、が活けるが如き木彫である。
「戸を開けて拝んでは悪いんでしょうか。