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かいひいちようちょう
開扉一妖帖
泉 鏡花
Read 開扉一妖帖 (かいひいちようちょう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,898 characters · 40 screens
――呆れもしない、目ざす敵は、喫茶店、カフェーなんだから、めぐり合うも捜すもない、すぐ目前に顕われました。ところがさ、商売柄、ぴかぴかきらきらで、廓の張店を硝子張の、竜宮づくりで輝かそうていったのが、むかし六郷様の裏門へぶつかったほど、一棟、真暗じゃありませんか。拍子抜とも、間抜けとも。……お前さん、近所で聞くとね、これが何と……いかに業体とは申せ、いたし方もこれあるべきを、裸で、小判、……いえさ、銀貨を、何とか、いうかどで……営業おさし留めなんだって。……
出がけの意気組が意気組だから、それなり皈るのも詰りません。隙はあるし、蕎麦屋でも、鮨屋でも気に向いたら一口、こんな懐中合も近来めったにない事だし、ぶらぶら歩いて来ましたところが、――ここの前さ、お前さん、」
と低いが壁天井に、目を上げつつ、
「角海老に似ていましょう、時計台のあった頃の、……ちょっと、当世ビルジングの御前様に対して、こういっては相済まないけども。……熟と天頂の方を見ていますとね、さあ、……五階かしら、屋の棟に近い窓に、女の姿が見えました。部屋着に、伊達巻といった風で、いい、おいらんだ。