Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

Read 陽炎座 (かげろうざ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 33,381 characters · 67 screens

Aozora Bunko

」

と幕が動くように向うで言った。

松崎は、思わず紳士と目を見合った。小児なぞは眼中にない、男は二人のみだったから。

美しい女は、かえって恐れげもなくこう言った。

「ああ、分りました、そしてお前さんは?」

「いろいろの魂を瓶に入れて持っている狂言方じゃ。たって望みならば聞かせようかの。」

「ええ、どうぞ。」

と少々しいのが、あわれに聞えた。

「そこへ……髪結が一人出るわいの。」

松崎は骨の硬くなるのを知ったのである。

「それが、そのお稲の髪を結うわいの。髪結の口からの、若い男と、美しい女と、祝言して仲の睦じい話をするのじゃ。

その男というのはの、聞かっしゃれ、お稲の恋じゃわいの、命じゃわいの。

もうもう今までとてもな、腹の汚い、慾に眼の眩んだ、兄御のために妨げられて、双方で思い思うた、繋がる縁が繋がれぬ、その切なさで、あわれや、かぼそい、白い女が、紅蓮、大紅蓮、……」

ああ、可厭な。

「阿鼻焦熱の苦悩から、手足がはり、肉を切こまざいた血の池の中で、悶え苦んで、半ば活き、半ば死んで、生きもやらねば死にも遣らず、死にも遣らねば生きも遣らず、呻き悩んでいた所じゃ。