Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Read 黒百合 (くろゆり) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 78,148 characters · 154 screens
助けると思召して後生でございます、私どもへ。」
とおろおろ声で泣くようにいう。
「おや、じゃああのお茶屋の姉さんかい。」
「はい、さようでございます。」
「それでは御馳走をしてくれますか、」と背後の腕車で微笑みながらいったのは、米が姫様と申上げた、顔立も風采もそれに叶った気高いのが、思懸けず気軽である。
女はかえって答もなし得ず、俯向いてただお辞儀をした。
「それじゃ若衆さん。」
「おう、鍵屋だぜ。」
「あい、遣んねえ。」
車夫は呼交わしてそのまま曳出す。米は前へ駆抜けて、初音はこの時にこそ聞えたれ。横着にした、楫棒を越えて、前なるがまず下りると、石滝界隈へ珍しい白芙蓉の花一輪。微風にそよそよとして下立った、片辺に引添い、米は前へ立ってすらすらと入るのを、蔵屋の床几に居た両人、島野と義作がこれを差覗いて、慌しくひょいと立って、体と体が縒れるように並んで、急足につかつかと出た。
「お嬢様。」
「へい、お道どん、御苦労だね。」
「おや、義作さん、ここに。」
勇美子は店さきに入ろうとしたが、不意に会った内の者を顧みて、
「島野さんも来ていたの。」
「ええ、僕は大分久しい前からなんです。