Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

Read ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 164,113 characters · 332 screens

Aozora Bunko

「それは羨ましい美風だね。郷に入ったら郷に習おうじゃないか?」

と年嵩の団さんが喜んだ。

「然う/\、去年の暮でしたよ。私のところの女中が売出しの福引をやりに行きました。大変に込んでいたそうですが、『私は士族の家の女中ですから』と言って、後から来たのに先に引いて行った奴があったそうです。この通りです。同じ女中なら士族の家のが豪いと確信しています」

「面白いですな。理窟がなくて信仰ですから貴いです」

とお父さんは凡そ極端な実例なら何でも歓迎する。

宿へ戻ってお茶を飲みながら、

「桜島は最早大丈夫でしょうな?」

と三輪さんは道々聞いた話を不図思い出した。

「九十何年間保証つきですから、我々の存命中は心配ありません」

と小林さんが答えた。

「九十何年も生きる気かい? 恐ろしく図々しい男だ。此方は今明両日間爆発しなければ、それで結構だ。甚だ慾がない」

と団さんの方が余っ程図々しい。

「この軽羹というのが此処の名物で、長崎のカステラに匹敵するお国自慢です。しかし惜しいことに長持ちがしません」

と間もなく例によって食物が問題になった。

「菓子ですか?」

と三輪さんは初めて一片摘んだ。