Japanese reading practice

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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

Read ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 164,113 characters · 332 screens

Aozora Bunko

「何だい、君、それは?」

と団さんも新聞を措いて目を円くした。

「田口君に一杯食わされたのさ」

とお父さんが答えた。

「餞別かい?」

「否、餞別なら処分の仕様があるが、道中を持って歩いて呉れという甚だ厄介な註文だ」

「そんなものは荷になって困るよ。断れば宜かったのにね」

と団さんは荷を恐れること夥しい。団さんの説によると文明の程度は旅行者の荷物の多寡によって定る。日本でも米を持って歩いた時代があった。軍隊は封建文化の遺物だから今日でも道明寺を携帯して歩く。未開のアフリカには家まで背負って歩く連中があるそうだ。この標準に照して、先刻から僕は真向いにある中年の夫婦を西蔵辺の上流社会と鑑定していた。奥さんだけでも大きな信玄袋二個と同じく大きな籐の籠で自分の身体とも約三人前の席を占領している。この両人がやはりお父さんの虎の大きさを笑ったのだから驚く。荷物はその儘にして自分達を棚に上げている。否、その虎の問題だが、

「つい引き受けてしまったから仕方がない。君も承知の通り彼の男は虎が大好きで、画室へ入って見ると宛然虎の置物の展覧会だ。この間来たから今度の旅行の計画を話すと、先生膝を打って、『それは又とない好都合だから一つ頼みがある』