Japanese reading practice

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みさごのすし

みさごの鮨

泉 鏡花

Read みさごの鮨 (みさごのすし) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 23,198 characters · 47 screens

Aozora Bunko

その行く処には、返咲の、桜が咲き、柑子も色づく。……他の旅館の庭の前、垣根などをぶらつきつつ、やがて総湯の前に近づいて、いま店をひらきかけて、屋台に鍋をかけようとする、夜なしの饂飩屋の前に来た。

獺橋の婆さんと土地で呼ぶ、――この婆さんが店を出すのでは……もう、十二時を過ぎたのである。

犬ほどの蜥蜴が、修羅を燃して、煙のように颯と襲った。

「おどれめ。」

と呻くが疾いか、治兵衛坊主が、その外套の背後から、ナイフを鋭く、つかをせめてグサと刺した。

「うーむ。」と言うと、ドンと倒れる。

獺橋の婆さんが、まだ火のない屋台から、顔を出してニヤリとした。串戯だと思ったろう。

「北国一だ――」

と高く叫ぶと、その外套の袖が煽って、紅い裾が、はらはらと乱れたのである。

九

――「小春さん、先刻の、あの可愛い雛妓と、盲目の爺さんたちをここへお呼び。で、お前さんが主人になって、皆で湯へ入って、御馳走を食べて、互に慰めもし、また、慰められもするが可い。

治兵衛坊主は、お前さんの親たち、弟に逢った事はないか。――なければそれもなお好都合。あの人たちに訳を話すと、おなじ境界にある夥間だ、よくのみ込むであろうから、爺さんをお前さんの父親、小児を弟に、不意に尋ねて来た分に、治兵衛の方へ構えるが可い。