Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みつばちのきたひ
みつばちのきた日
小川 未明
Read みつばちのきた日 (みつばちのきたひ) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 3,774 characters · 8 screens
雪割草は、ぱっちりと目を開いてみると、びっくりしました。かつて、見たことも、また考えたこともない、温かな室の中であったからです。そして、自分のまわりには、美しいいろいろの花が、咲き乱れていたからであります。
雪割草は、小さな頭の中で、過去を考えずにはいられませんでした。この雪の降る、風の烈しい、岩蔭で咲いた日のことが、ぼんやりと浮かびました。それは、谷から捲き起こる風の叫びであったか、また、山を越えて、あちらの海からうめき起こる波の音であったかしれないが、たえず、すさまじい、魂を戦かせるような響きをきいて、花弁を震わせながら咲いていたのでした。
しかし、その日を不幸だとは考えなかった。春になると、羽のうす紅い、小さなちょうが、たずねてきてくれた。また、夜になると、清らかな星がじっと見守って、いろいろ不思議な話をしてくれたからであります。
「しかし、いったいここは、どこなんだろう。」と、雪割草は、あたりをながめて、独語をもらしました。
すると、すぐ、自分の頭の上に、くじゃくの羽を垂れたような、貴族的ならんが、だらりと舌を出したように、みごとな花をつけていましたが、その言葉をききつけると、