Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
わがせいしんのしゅうい
わが精神の周囲
Read わが精神の周囲 (わがせいしんのしゅうい) by Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,670 characters · 32 screens
日蓮の婆さんは温灸をやりながらアンマをしてくれるし、師匠の婆さんは温灸が終ってから、足や背中やクビ筋などを足でふむ。いずれもツボをはずれていて、何をやっているのやら、バカバカしいものである。
朝は日蓮の婆さんが肝臓をやり、夜分は師匠と火の玉が睡るための温灸をやりにくる。日蓮の婆さんは温和で、気違いじみたところや、宣伝めいたところがなく、
「奥さんのミズムシは長くかゝりますよ。タテ孔のできたミズムシはタチが悪いですよ」と正直なことを云ったり、私の肝臓については、
「旦那さん、肝臓にお酒は悪いですよ」
と、当然なことをマジメに言う。ハッタリ漫才の二人組とは逆なことを言うのである。二人組の言うこと、為すこと正気の沙汰ではないから、
「どうだい。あんた方、催眠術というものを知っているかい。オレがあんた方に催眠術をかける。あんた方がオレに温灸を施す。どっちが利くか試合をやろうじゃないか」
「催眠術って、ねむらせるんですか」
「眠らせもするが、もッと、ハデにやろうじゃないか。別に火や水を使うワケではないが、オレが術を行うだけで、あんた方の全身、火に焼かれているように熱くしたり、凍ったように冷くしたり、してみせようか」