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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ
エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説
戸坂 潤
Read エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説 (エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ) by 戸坂 潤 (とさかじゅん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 36,570 characters · 72 screens
もし引力が部分を連結しているならば、引力は接触に於て付着の働きをしているものである。処が部分は運動し得る筈であったからこの接触乃至付着も変化し得るものでなくてはならぬ。この変化は部分の交易かさもなければ接触そのものの消滅である。前の場合にあっては、部分は交易し移動しても、接触そのものは保たれるのであるからして、接触の量は全体としては減じないが、後の場合であるとすれば、部分は分離し付着は減じる。分離に抵抗する力は付着力であり、移動に抵抗するものは摩擦である。
如何なる物質も一定の付着力を持つが、摩擦を有たぬ物質は可能である。即ち付着を減じることなくして部分が絶対的に移動し得る物質――流体がある。之に対して部分が付着を減じることなくしては移動し得ない物質即ち摩擦を有するものは固体である。流体と固体との区別を以上のようにして与えるならば、両者の区別を与えるものは普通考えられるとは異って、付着ではなくして正に摩擦である。流体は固体よりも付着が少いのではなくして付着の種類を異にしているのである、即ち摩擦がないのに過ぎない。外部の空間に触れる部分が小さければ小さい程物質部分間の付着の面は大きい筈であるが、恰も流体なる水滴は外部の空間に触れる部分を最小ならしめる――球面――性質を有つのであるから付着は大きくある筈である