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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
Read ピストルの使い方 (ピストルのつかいかた) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 39,100 characters · 78 screens
――(これ古服は黒し、俺は旅まわりの烏天狗で、まだいずれへも知己にはならないけれど、いや、何国の果にも、魔の悪戯はあると見える。わずかにこの十年ばかり前までは、うら枯の秋から、冬の時雨の夜へかけて、――迷児の迷児の何とかやーい――と鐘をたたいて、魔に捉られたものを探す声を、毎晩のように聞いて、何とも早や首を縮めたものでござります、……と昨夜の宿で按摩が饒舌った。……俺の友だちで、十四五年以前に、この土地へ旅をしたものが。)ッて、兀の親仁様が言ったんですけど、――あなた、天狗にお友だちッてあるんでしょうか。」
「八千坊というくらいだから、皆それは友だちだろうね。」
つい聞入って真顔で答えた。振袖は、島田の鬢をゆらゆらと、白歯で片頬笑をしているのに。――
鬢のほつれに顔はなお白い。火沙汰に丘を駆けたというにも、襟裏の紅のちらめくまで、衣紋は着くずれたが、合わせた褄と爪尖は、松葉の二針相合したようにきりりとしている。
「その貴方、天狗様の友だち……友だちの天狗様……あら、何だかこんがらかりました。いえね、その自分で天狗だ、と云った親仁様の友だちが、やがて十年ほど前に、この土地へ来なすった時も、旅籠でとった按摩が、やっぱりさ、ここ十年前までは、うら枯の秋の末から、冬の時雨の夜へかけて――迷児の迷児の何とかやーい……