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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
Read 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,603 characters · 66 screens
「百姓共は、何んと、申しておる」
「喜んでおります」
「ならよい。村へ逃げて入れば、どこかへ匿してくれよう」
「食事を」
「歩きながら」
大作は、立上った。
「よく――何と申してよろしいか、人間業では御座りませぬな」
「いいや、人間業じゃ。死を決して行えば、鬼神も避けるし鬼神も討てる。遠くから手を束ねて討とうなどと考えたから、大砲は仕損じたが、越中風情短刀一本で事が足りる」
「首は」
「首か――斬ろうとは存じたが、わしに救いを求めているらしい眼をみると、気の毒でのう」
「首があっては、家断絶にはなりますまい。急死の届けで、済みましょう」
「首が無うても、当節の役人は、袖の下で、何とでも成る。殺しておけば、津軽も、命には代えられんと思うから、檜山を返すであろう」
「然し」
「戻さん節は、また、殺す」
大作と、関良輔とは、堤の上から、田圃の畔へ降りて、紙燭をたよりに、村の方へ歩いて行った。
十二
いつまでも、渡し舟が出ないで、夕方近くになったから、人々は、そこから先の旅をあきらめて、近い村の百姓家で、泊ることにしていた。
噂は、大作のことで、一杯であった。誰も、彼も、大作を、日本中で生れた、どの豪傑よりも強いと、称めた。